断るときは上手に
断るときは誠実に断りましょう。
直接や電話でなく、在宅ライターという仕事上メールでのお断りが主なので、メールでの断り方の話になります。
すぐに断る
依頼後、時間が経つとクライアントさんも「この人に任せた」と思って、意識が次へ行ってしまいます。お仕事をもらったその時点で断りましょう。仕事を寝かせてしまって、締め切り間際になって断るのはしてはいけないことです。
・無理です
・不可能です
だと思います。
会社で口頭ならあるのかもしれませんが、依頼の返信で「無理です」と来ると、「はあ?」と思ってしまいます。
OKワードは
・お受けできません
です。そのあとに理由を丁寧に述べれば大丈夫です。
本当は最初に伝えておくこと
自分の無理領域が決まっている人は、採用の段階でお伝えしておくとよいと思います。あとから「話が違う!」といわれても困りますので。私は、「新しい仕事をお願いしてもいいですか」といわれるときに、いくつかのテーマを提示して「これ以外ならお受けできます」とお伝えします。
無理を言い過ぎると仕事が来なくなるのは事実です。
なので、その点はよく見極めましょう。
なお、「やったことないから無理です」というのは最低の言い訳だと思いますので、これだけは(たとえ真実だとしても)言わないようにしましょう。
気持ちの良い断り方
実際にいただいて、気持ちよく「はい、では次のお仕事を振らせていただきますね!」となった例をご紹介します。
「お仕事ありがとうございます。申し訳ありませんが、そのお仕事はお受けできません。父がその仕事をしていまして、かなり内実ブラックだというのを知ってしまっています。文章ににじんでしまいそうなので、もしよかったら違うお仕事を振っていただけませんか?」
「ご依頼ありがとうございます。申し訳ないのですが、そのお仕事は他の方に振っていただいてもよろしいでしょうか。少し勉強してみたのですが、とても納期までにこなせる内容ではないと思いました。次にご依頼いただけるときのために勉強は続けておきますので、今回はどうぞよろしくお願いいたします」
断ることに変わりはありませんが、人柄がしのばれるようなメールで、即答で「了解しました」と返事をし、他の方に回しました。
何が何でも書かなければならない、ではなく、どうしても断りたいときは悪い印象を持たせないように断りたいものです。
仕事はいつから選んでいいか?
では、仕事はいつから自分で選べるようになるのでしょうか?
仕事に選ばれるということ
これは私の周りだけかもしれませんが、ライター業も長くなってくるとどんどん「仕事に選ばれて」行きます。
自分で選ぶというよりも、頼まれる仕事がどんどんどこかの分野に偏ってくるという言い方のほうが正しいでしょうか。
誰にでも得意・不得意がありますが、それを超越したどこかで「この人はこういう系統が良い」となれば、そういう仕事が寄ってくるのだと思います。
例えば私は、最初はアフィリエイトの仕事が嫌いでした。
自分が共感できない商材だと特に。
それでも、いただいたお仕事を丁寧に続けるうちに、アフィリエイトでも、「うわあ、これ素敵!」となるような商材ばかりが来るようになりました。
名文だから仕事が来るのではない
おそらくそれは感覚によるもので、クライアントさんもきっと私がそういう商材が好きなことをわかってくれていたのではないかと思います。
難しいのは、たいていの人は最初に頼まれるのが共感できない商材ということです。それはそうです。単価の高い、だからすてきな商材は経験のあるライターのほうへ行くからです。
最初の段階でいい加減な仕事をしたら、次の仕事は来なくなります。
ちょっといやだな、くらいの感じだったら丁寧にやってみましょう。
断るラインを見極めよう
それでも断ったほうが良いラインというのはあります。
それを続けていたら自分が病みそう、あるいは自分のモラル的にダメ!というのは勇気と誠意をもって断りましょう。
初期のころの仕事で、私が必ず断ったのは
・卒業論文の代筆
・精神疾患に関するコラム
・アダルトな内容のコラム
でした。
卒論の代筆は、プロに代筆させて卒業した人が自分の部下になったらいやだから。
精神疾患に関するコラムは、調べて書いているうちに自分も病んでしまいそうだから。
アダルトな内容のコラムは、子供が家にいる状態で仕事をしているときに、胸を張れる仕事がしたかったから。です。
仕事はリビングなので、子供も自由に画面をのぞきますし。
でも、理由をきちんと述べて断ったら、どのクライアントさんも快く引き上げてくださいました。
断り方もあると思うので、また次の機会に。
「無理です」はありか?
ライターになりたい!と言ってきた方々が一番最初に提示してくる壁。
それが、「無理です」でした。
なんで「無理です」?
これは、新しいジャンルのお仕事を頼むたびに誰かが言いました。
例えば、通信制高校の記事。
「自分はそういう学校に通ったことがないので無理です」
例えば、インテリアの記事。
「私はインテリアに関する知識がないのでできません」
では、何なら書けるんでしょう?
と聞いてみました。
「温泉なら詳しいので、それなら書けます」
と言ってきた方がいらっしゃいました。
温泉…その時点での需要はありませんでしたが、書く練習になるのかなと思ってお願いしてみました。
・国内の有名な温泉を10選んで、その温泉の歴史を1000字で書いてください。
・他のサイトと内容の被りがないように(有名なサイトを3,4上げて)お願いします。
知らないことは書けない、という謎
そうしたらこんなお返事がきました。
「自分は温泉の効能については詳しいが、歴史のことはわかりません。効能について書かせてください」
却下しました。
知らないことは書けないというなら、この方に書いてもらうことは何もありません。知らないことは調べなければいけません。どこのどんなお題が降ってきても、調べつくしてそれを書くのがプロではないですか?
アマチュアの作文ならブログで書いてください。
ここであなたがやろうとしていたことはプロへの修行ではないですか?とお伝えしました。
「調べて書くんですか?でも、自分がちょっと調べたようなことはプロの方にはかなわないのではないですか?」
…プロになろうとしているのではないのでしょうか?
ちょっと調べてダメならば、たくさん調べればよいのでは?
自分の知識に自信がないのなら、自信がつくまで調べればいいのではないですか?
「でもそれでは時間がかかってしまいます」
結論から言うと、初心者のうちはどんどん時間をかけるべきです。
だって、「よく知っているもの」「プロと張り合えるくらいまで知っているもの」なんて、普通の人は「ない」のですから。
向いていないと思ったものでも、知らべてわかるようになったら実はとても好きになれるものかもしれません。
この問答を過半数の方とやりましたが、それぞれ皆さん納得してくれて、最初はすごく時間がかかるのは仕方ない、と思ってくださるようになりました。
むしろ最初に時間をかけることをいとわなかった方は、最終的に同じテーマなら記事の作成スピードも上がり、内容も濃いものになりました。かけた時間は投資と同じで、必ず自分に返ってくるものだと思います。
ありがとうございます
1年近く放置してしまったブログに、今なお1日30人以上来てくださる方がいらっしゃいます。どうもありがとうございます、そして放置申し訳ありませんでした。
この1年、4人のライターさんの卵とともにいろいろな試行錯誤をしてきました。1年かけて、何とか2人が形になり、お仕事をお任せできるようになりました。1年で50%というのが多いのか少ないのかわかりませんが、できるだけのことをさせていただいたつもりです。お1人は残念ながら離脱し、もう1人は最後の仕上げを私の手元でやっていただいています。
時にスパルタ、時にかなり一から十まで、とやってきましたが、やっぱり人を育てるのは大変です。
それらをまたつづっていこうと思います。
締め切りを守れない人が考えていること
締め切り命、という仕事はライターに限ったことではなく、社会人全般に必要な意識だと思っています。
誰かが遅れればそのあとの予定を調整しようとするところで誰かに迷惑が掛かります。ひいては会社に迷惑をかけます。
でも、締め切りを守れない方いらっしゃるんです。幾度かやり取りを重ねるうちに、だんだんパターンがわかってきました。
締め切りを守れない人はこう考えている
締め切りを守れない人は、
「納期を締め切り日から逆算」しています。
たとえば、来週の水曜日に締め切りだったとします。
すると、締め切りを守れない方が仕事に取り掛かるのは来週の水曜日なのです。
突発的な仕事が入ってくることはよくあることなのですが、締め切りを守れない人は「その日」が空いていれば受注してしまいます。
逆に、締め切りを守れる人は、今日から3日以内(締め切りの3日前)までに余裕がないとその仕事を受注しません。
この意識を変えないと、永遠に締め切りは守ってもらえない気すらします。
締め切り当日にはアクシデントがある、と考えよう
研修の一番最初に頼んだお仕事で、「許されると思った」と言って締め切りをスルーしたライターさんがこのタイプです。
今日は水曜日。金曜日が納期だったとすると、その人は金曜日にそのタスクを行う時間を設定します。
ところが、金曜日にはいろいろなことが起こります。お子さんが熱を出して病院に連れて行かなければならなかったり、急にお子さんの予定が入って送迎の必要が出たり、急に雪が降って雪かきをしなければならなかったり…
締め切りの当日には、必ずアクシデントが起こると考えてください。
その日にはもう仕事はできない、と。
そのくらい考えておいていただかないと、このタイプの方は締め切りが守れないんだと思います。
この微妙さはOKか?
以前ご紹介した、初回に締め切りをスルーした方は、初回以外は締め切りを守るようになってくださったと前回は書きましたが、ちょこちょこ「?」ということが起きます。
12日までに締め切り。
と言ったら、納品の日時が
13日の01:20とか。
13日の08:45とか。
今はオンライン入稿なので、納品時間がバッチリわかってしまいます。私が仕事に入るのがいつも10時ころなので、確かに支障はありません。ですが、常に違和感は残ります。
それって本当に締め切り守ってるって言えますか?少なくとも今のところの信頼度は超低です。
72時間以内に余裕がなかったら引き受けない
締め切りが72時間より後ろにある場合は、今から72時間以内にまとまった時間が取れない場合は初心者のうちは仕事を引き受けない方がいいです。
今日中に(今朝の10時、その会社の終業時間は18時)だったら、このあと3時間、13時までに時間が取れなければ引き受けるべきではありません。間に合わないから。締め切り直前に仕事をするのではなく、締め切りまでに時間と日数のバッファーを取るべきです。
最初のころは、「これを断ったら仕事がなくなるのでは」とだれしも怖くなって、来た仕事をみんな引き受けてしまいがちです。
ですが、締め切りを微妙に破るこの行為の心証がどれだけ悪いか。
引き受けたものの、推敲する時間もなく納品されたものって、読んでるこちらにはわかってしまいます。
低レベルな納品をされるくらいなら、修正に手間がかかるから次からこの人には頼みたくありません。一番高いのは人件費です。
これが納品される側の理論です。
もっと寝かして置いたらいいものになるかも、というのは幻想です。今日できたものと3日考え続けてできたものは、申し訳ないですが大差ありません。
締め切りの数日前に、ぜひ自分締め切りを設け、早くできたら早く納品してください。その方が次の仕事の回転をよくすることができます。そういう人はたくさん仕事が回ってきますよ。
「仕事ができる」について考える
採用に至って、やれやれ。ではありません。ここから始まります。最初は3日という期限を区切って、最初のお題を書いていただきました。
最初のお題は、普通にライターさんに出すお題をそのまま出します。すでに活躍されているライターさんと同じような形で発注しますが、書く上での注意点もレギュレーションも、同じように発注します。
これは、現時点での力量を見せていただくためです。私には、「この4人(直接来た1人と募集をした3人)をライターにする。ただし、1人も残らなくても構わない」というミッションがあります。
ゴールまで走っていただくにあたって何が必要なのかが見たいので、このやり方を取りました。
修行は障害物競走みたいなもの
修行と偉そうに言っていますが、要は研修です。ですが、脱落OKということで修行という言い方をさせていただきます。
修行は障害物競争に似ています。
スタートダッシュで得られるリーチは少なく、どこの障害で引っ掛かるか、その障害に引っ掛かった後どうするかによってその方の進み具合が決まるといってもよいでしょう。
網にひっからまったら、それでやめるのか。
それとも、網を切り裂いてもう一度走るのか。
丁寧に網をたぐりよせて抜け出すのか。
大きな違いです。
ですが、要は進んでいただけばいいだけ。
どのような方法を取るかはその人によって違って問題ありません(もちろん、材料やアドバイスは提示します)。
その最初の段階で、早くも1名が脱落しそうになりました。
「欲しがられている」という感覚を捨てよ
修行対象に選ばれた時点で、「私は欲しがられている」と勘違いしてしまうとちょっと厄介かもしれません。
この会社にとって私は必要とされている。
この感覚、フリーライターの駆け出しだったらむしろ持っていてはいけないと私は思います。
なぜなら、この時点での代わりはいくらでもいるからです。
必要となる存在になることはできます。
ですが、それは駆け出しで「トンマナ」という単語もわからない今ではありません。ここからひとつひとつ信頼や実績を積み重ねていくことによってオンリーワンが育つのです。
修行ですが、学校ではありません。
私がライターさんの卵たちを育成するにあたってお金を出してくれているのは、ライターの卵たちからではなく、会社からです。
当然最優先すべきは社益。
脱落しそうになった理由
その方には、少し甘えがありました。
何に対する甘えかというと、締め切りに対する甘えです。
今回の最初のお題については3つの締め切りを設けていました。
初稿納品、修正による校正の締め切り、完全な納品。
それを初稿納品の段階でスルーしたのです。
担当者とも話し合い、これはNGだねということになりました。最初から締め切りを破る人は最後まで破る。最初から締め切りを守っている人だって、途中でだれて破ることもある。ですが、テキストの納品が遅れたら、そのあとの予定がどんどんずれるのです。
締め切りを守れない事情があるなら、事前連絡を。それができないなら依頼ができない。
そう告げたときに、「2,3日くらい許されると思った」という返信が来ました。
…これはもう、ダメですよね。
何度かのやり取りがあって、その方は修行続行することになりました。
厳しいことも言ったせいか、初回以降は締め切りはちゃんと守っていただいています。連絡もきちんと入れてくださるようになりました。
自己アピールは何をする場か?
昨日に引き続き、自己アピールから「この人は採用しない」と判断した基準をお伝えします。
これはあくまで今回の、個人的な意見ですので会社によって差はあると思います。その点はご了承ください。
これがあれば平均点です
平均点が悪いといいたいのではありません。平均点で十分なのです。
・基本的な挨拶ができている
・自己紹介が過不足なし
・こちらが出した条件をもれなく記載している
この部分に漏れがある場合もNGです。
自己アピールで今回見たのは、
こちらの要求に100%答えようとしてくれているか
でした。
質問項目が6個くらいありましたが、
その6個に過不足なく答えているかどうか。
もちろん最後に「一言ある方はどうぞ」というのがあるのですが、そこに書いてあることは参考程度に読むだけです(何度も繰り返しますが、殿様コメント以外は、です)。
自己アピールよりもその時のやり取り
誤解を恐れずに言えば、「ひどいもの以外は自己アピールなんて熟読しない」です。今回も殿様コメント以外は全員にご連絡しました。
どんなご連絡かというと、
「この部分について質問したいのですがよろしいでしょうか?」と質問を殿様コメント該当者以外に送信しました。
その際のやり取りで採用を決めています。
「修行」を始めると、基本的にメールツールを使ってのやり取りになります。なので、メールでコミュニケーションを取れない方、やりとりがそこでちぐはぐになる方、聞かれたことに的確に答えられない方は申し訳ありませんがその時点で外させていただきます。
私たちの質問が的確でない場合もあるかもしれない。そのときはどうしよう?という相談もしましたが、「質問を読む力も必要だろうし、わからないことは問い直せる方が欲しいよね」ということでこの方法を取りました。
そこで残ったのが3人の方です。文面を読む限り、やる気もあるように見受けました。
そして採用に至ります。続く。